久田和広の環境問題

環境問題について

環境問題の根本的な考え方として、環境に負担をかける要因のことを表す環境負荷という言葉がある。人類が何らかの活動を行った場合、必ずといっていいほど自然に何らかの負担(環境負荷)を与える。しかし、自然には自浄作用や修復作用といった作用があり、小規模な負担であれば自然に解消することができ、環境問題として影響が出てくることはない。

しかし、自然が持つ作用の「閾値」を超えた負担がかかると、解消しきれなかった負担が環境問題となって周囲に影響を及ぼし始める。
問題を解決するためには、まず環境負荷をこれ以上増やさないようにし、次に環境負荷を減らしていくような段階を経て、環境負荷を自然の許容範囲にまで落とし、これを長く継続させていくような流れをとるのが普通である。
環境問題では、環境負荷をかけている当事者がそれ相応の影響を受けることは少ない。大気汚染や水質汚染が大気や水を通して周囲に広がっていくことから分かるように、影響は広範囲に広がり、負荷をかけていない他人にも影響が及ぶというのが大きな特徴である。そのため、当事者は環境に負荷をかけているという意識が薄くなりがちで、影響が出始めてから気付くことが多い。

環境問題では、負荷をかけていない他人への影響を含めて、当事者が全ての責任を取るという汚染者負担原則という考え方がある。ただ、汚染などの悪影響が小さければ問題はないが、悪影響が大きい場合や、環境に負荷をかけている当事者が判明していない場合は、当事者の負担が重過ぎて対策がままならないことがある。その場合、社会全体でも責任を負い、例えば税金を使って汚染による被害の補償を行うなど、当事者や影響を被っている者への支援を行う。
また、当事者の自発的な対策が行われない場合や、当事者が多数おり協力が難しい場合などもあるため、地域社会や行政などの社会全体が中心となって対策を行う必要がある。法学的には、人間の生存にかかわるような環境問題は生存権や人格権の侵害として当事者の責任が法的に規定されている。また近年は、環境権についても認める動きが出始めているが、国により差がある。

環境問題対策の方法は、大きく2種類に分けられる。環境汚染の影響が健康に及ばないよう基準(環境基準など)を定め、これに基づいて計画を立てたり、汚染の監視や規制を行ったりする手法は、トップダウン型対策の代表的な方法である。組織が自発的に環境に関して方針や目標を定め、それに沿って活動し評価などを行っていくことを環境マネジメント(環境管理)といい、ボトムアップ型対策の代表的な方法である。

ただ、環境問題への対策は政治的組織(国、都道府県、市町村など)単位になってしまうため、対策の効力が及ばない他地域の汚染が自地域に及んでしまう、越境汚染(特に国家間の越境を言う)という問題もある。これについては民間の活動では追いつかず、政治的な働きかけ、国際的な議論や協議が必要となってくる。

環境問題の解決を目的として、あるいは思想などを背景にして、環境を保護することを環境保護といい、これを継続的に行っていくのが(市民活動としてみた場合)環境保護活動や(社会運動としてみた場合)環境保護運動である。環境保護のうち、特に自然を対象とするものを自然保護と呼ぶ。環境保護を推進したり啓発したりする団体を環境保護団体といい、自然を対象にするものを特に自然保護団体と呼ぶ。

環境保護に類似する言葉として環境保全がある。ほぼ同義であるが、使い分けることもある。

環境分野の問題を統括する国際組織には、全世界を対象とする国際連合と国連環境計画(UNEP)をはじめとして、欧州連合(EU)やアジア太平洋経済協力会議(APEC)などの地域連合、専門分野を扱う組織として気候変動に関する政府間パネル(IPCC)などがある。

環境問題を対象とする学術分野が環境学である。環境化学、環境社会学、環境経済学、環境倫理学、環境政策学などを始め、環境とその影響、それを取り巻く問題などを扱う。

環境に関する思想にはエコプロダクツやガイア理論などがある。一部は一般的にも広く浸透しているが、独自の思想もみられる。こういった思想を踏まえて環境保護を推進していこうとするのが環境保護主義であり、環境保護団体のほとんどがこの主義を掲げている。